ないしょの話

『しぐれ』周りのあれとこれ。
事件簿はいずれまた。

紅いストールの話。

病弱な女性ってことで、何か纏ってみようと思い、
私物より引っ張り出したるストール。

これは
2005年4月雨垂事典公演『四月の風』出演時に使ったもの。
『四月-』は、とある病院の待合室を舞台に
登場人物それぞれのアレコレを描いた作品でした。

私の役どころは入院患者の「スバル」さん。
パジャマにストール羽織って、他の患者や医者をちゃかす。
天涯孤独のキャバ嬢で、(出てはこないけど)恋人がいて。
入院して、検査の結果、手術をしないと命が危ない。

手術をすると、子供が望めなくなる。
そして、手術には「家族」の同意が必要。

スバルさんは、恋人に言われたのです。
「俺が家族になる。結婚しよう。手術を受けてくれ」
と。
彼女は、彼との子供が欲しかった。
ただ、それだけだった。

混乱して悩んで、答えを見つけて、彼女は前に進みました。
弱くて、欲しがりで、強い女性でした。


『しぐれ』のヒムカさんは、子供が産めないうえに
夫と愛人の間に産まれた子供と一緒に暮らさなければいけない。
しかも、その子は母親からの愛情を欲しがってやまない。

スバルさんには恋人がいてくれたけど、
ヒムカさんには、もう誰もいない。

彼女の心境を想像するだに辛くて仕方がなかったけど、
ある時
「彼女もできることなら、シグレを愛したかった筈だ」
と思い至ってからは、いくぶん救われる思いがしました。
だって、シグレは(特に子供シグレは!)とても良い子なんですもの。

彼を憎むのは間違っている。
戸惑いは、どうしても彼を愛することができない自分自身にあるのだ。
ともすれば、彼の生を終わらせたがっている自分に恐怖したのだ。

そして。
スバルさんのストールを借りて、
私はやっと、ヒムカさんを演じとおすことができました。

人に歴史ありってことで。


あと、
『しぐれ』ラスト、死人がイヨを囲むところで
ヒムカさんはイヨに何か文言を囁いております。
脚本にも無いし演出の指示も特になかったので、
私なりに文章を作って、口パクでしゃべっております。

DVDが出たら、分かるかしら。

なんて言ってたかバラしたのは、いまのとこ
もめんとナガタくんだけのはず。ふふふ

コメント