人差し指の記憶

大阪の水辺の職場にて仕事

うっかり興がのり、表門が閉まる時刻まで仕事

かつてこっちのレギュラーメンバーだった頃は、
幾つもの夜明けをここで迎えたものだ

が、配置替えがあり、
住居も遠く移してからこちら、
このような深夜に退出するのは
滅多にないことであった

さて
表門が閉まっているのだ

退出するには、従業員用の扉を、
個人毎に割り当てられた暗証番号と
指紋認証の組み合わせで開けなくてはならない

この扉はまだ、私の指を覚えているだろうか?

ナンバーキーを操作し、
おそるおそる指を押し当てる


寝静まる工場街の一角、
果たして解錠の金属音が響いたのであった。



あああ暗証番号覚えてたよぉおおぅ
焦ったよぉおおぅ
よかったあぁああぁあ

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