一人称問題

遠距離通勤で電車に乗るのだ。
人様の会話も聞こえてくるわけだ。

男性2人組がいらっしゃったのだが、
そのうちのおひとりの一人称が
「ウチ」だった。
ちょっと衝撃だった。

傍聴当初、
「この人の"ウチ"は、"ウチ(の会社)"ってことかしら」
と思ったのだが、
話の内容が個人的な好き嫌いだったりしたこともあり、
どうやら本格的に、一人称として「ウチ」を
選択しているらしい。

「ウチ」氏は、アニメ業界 特に声優方面に対して
相当に造詣が深い模様。
現在、旬だという声優さんの名前を
スラスラと10人程度あげていた。
ニックネームとかで。

お連れ様はソチラ方面には疎い様子で、
それを見て取った「ウチ」氏は、水を得た魚のように
声優業界とその展望について詳細な解説をしていく。

これは、もしや。

所謂「オタク」層の男性がその昔
(その語源ともなっているように)
「貴方は」を「おたくは」と呼んでいたがごとく、
「私は」も「ウチは」に
シフトチェンジして行くのかもしれない。

彼が繰り返す
「ウチは」
という言葉に、私は
「自分と同じ主義/主張を持つ集団が成している、ひとつの代表的な人格」
みたいなニュアンスを感じ取ったからである。

そう、決して「自分」ではない。
「自分の所属する集団」でもない。
「自分と似た人間の意見をとりまとめた 自分’(じぶんダッシュ)」なのだ。

個人としての意見ではないが、
自分の周辺では殆どがこんなことを言うと思うよ、
というニュアンス。これが
「語りたい、解説したい、分類したい、けど孤立は避けたい」
みたいなオタク気質を象徴しており、
「ハマってるなあ」
と思った次第。

長いな。

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